『80歳半ばの夫が…』

喪主を務められた 故人の夫…
きをてらうことがお嫌いな方だったので、

棺に捧げる最期の花束は お嫌かな?と思いながらも、

“しておけばよかった…”という後悔は残したくなかったので、

お嬢様方とも相談して、一応お渡ししよう…ということに。

そして、その瞬間がやってきました。
担当者が花束をお渡しすると、意外にも すっと受け取ってくださり…。
通常なら、そのまま両手でそっと棺のお身体の上に置かれる…のに、

その夫は受け取った花束を片手で 高々と持ち上げたのです。

いったい、どうされるのだろう?
もしかして、ご機嫌が悪くなり、叩きつけようとなさってる!?という、

不安にかられながら、見守っていたら……。
胡蝶蘭の花束を、棺に眠る奥さまに掲げて、見せていらしたのでした。
何か一声かけながら。

離れたところにいた私には、何を仰ったのかは聞こえませんでしたが、

でもその所作で ご主人の奥さまへの想いが伝わり、

瞬時に胸がしめつけられました。

久しぶりに、涙でコメントが出来ない状態になってしまったのでした。

口の悪い人ほど優しかったり、つっけんどんにする人ほど照れ屋だったり…。
葬儀現場では、様々な人間模様を見せてもらえます。