21『フェイント×3』

ある日の寺院打ち合わせで、「ご住職と同じでよろしいでしょうか?」

と、お尋ねし、「はい。」と言われたので そのつもりで臨んだ通夜式。

 

真宗大谷派のこのお寺のご住職は、50歳前後のお若い方。

前ご住職の父上様とも 何度もご一緒させていただいていますので、

式の流れは、こちらで把握しています。

 

この日は、ご住職も父上様も ご都合がつかず、なんとご住職のお母様

…父上様の奥様が 通夜の導師として来られました。

 

恐らく、70歳代後半くらいのお歳でしょう。

もう堂々とした立ち居振る舞い。堂々とした読経のお声。

 

しかし、しか~し。

ご住職と同じじゃないっ!!!

 

阿弥陀経の前に表白(ひょうびゃく)。

正信偈の後に御文(おふみ)。

更にそのあと、恩徳讃(おんどくさん…これは、節(ふし)がちゃんとついた歌)。

 

フェイントなんと、3連発!!!

 

これ、新人の司会者だったら、もうノックダウンです(笑)

 

翌日のお葬儀でご住職に伝えると 大笑い!!!

「スペシャルだったねぇ」…ですって。

確かに(笑)

 

葬儀司会者は、約束を守ってもらえなくても文句なんて言えません。

約束を信じて、失敗しても それは司会者の責任です。

お寺さんの動きを見て、予想をして、何事もなかったかのように進行する。

 

面白いでしょ?

スリリングで、想像力を発揮できる。

あー、面白い。

こんなところにも、葬儀司会者の醍醐味がっ!!!